たばこ
「危ないし歩道側歩きや。
荷物重くない?かしてみ。」
酔ってるの?
「こんなん全然やで酔ってへんよ〜。」
あからさま語尾がいつもより優しくて
いつものキリッとした一重はどこへいったのやら。
お酒を飲む時しか吸わないたばこ。
たばこの初心者マークが見えるあなたの
ふかし方。
種類をちゃんと覚えています。
火をつけてから無理してる吸い方や、
カリっと音を立てて吸うそのたばこ。
お酒が入ると突然愚痴をこぼし始める癖も、
180cm近くあるのに弱々しくなる横顔も
この時点でもう彼の思うとおり居るのは掌の上。
私ってアホやなあ。
憧れの人が言ってた。
「近づいた振りをして、遠くにいる人は
一番ずるいように見えて一番美しい人です。」
私バカだから分からないけど、
美しい人のこと嫌いになれませんどうしても。
大っ嫌いだったはずのたばこが毎日私の
鞄にあることも喫煙所に似た人を探してしまう癖も。
あなた離れはできません。
タバコをやめるのが難しいように、
あなたのような人を嫌いになれない
「無理に忘れず思い続ければいいんじゃないですか。」
ふかして吸い込むそのやり方も、
選ぶたばこの銘柄も。